2026-06-09

『薬指の標本』について


こんにちは、図書館スタッフのFです。

本日は『薬指の標本』という小川洋子 さん著作の短編小説についてご紹介します。
本作には、下記2つの不思議な話が収録されています。

1.「薬指の標本」

標本室で働き始めた、主人公が自分のなくなった薬指を標本にしてもらおうとするお話です。
フランスで映画化(2004年制作/ディアーヌ・ベルトラン)されていて、博物学的モチーフや全体的な静けさから著者の空気を感じられます。
記憶、人体、時間、、、みなさんなら、何を標本に閉じ込めたいですか。

2.「六角形の小部屋」

「カタリコベヤ(語り小部屋)」を必要な人に、独りで「語る」場を提供する人、またそこに訪れる人々のお話。
こちらも余韻の残る印象的な作品で、個人的にはかなり響きました。

もしわたしだったら”この部屋を所有したい”と思い、”さあ何を語ろうか”と高揚し、
しゃべりつづけるでしょう。

物語終盤、主人公は時折カタリコベヤに訪れる”みどりさん”を尾行します。
(以下、本文より引用)

”次から次へと質問が口からこぼれてきた。
本当にその答えを知りたいと思っているのではなく、
ただ少しでも長く彼女のそばにいて、
意識を狂わせているものの正体を感じ取ろうとしているだけなのかもしれなかった。”

これは単なるファンタジーではないのです。

みなさんも誰にも聞かれたくないことや話せないこと、
一つや二つあるのでないでしょうか。

本学図書館にありますので気になった方はぜひ読んでみてください。

(スタッフ:F)

著者 : 小川洋子
新潮社
発売日 : 1997-12-24
ISBN:9784101215211 
所蔵 :和書(3F) 913.6||O 24 図書
 

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