梅雨も明け、夏真っ盛りですね。
学生の皆さんは試験の真っ最中ですね。図書館は試験中、日曜日も含めて毎日開館していますので是非ご利用ください。開館時間が曜日によって違いますので、ご来館の際は図書館HPのカレンダーをご確認ください。
昭和の時代に小学生だった私にとって、夏は『平和』について考える季節でもありました。原爆が投下された日、そして終戦の日には、戦争で被害にあわれた方たちをしのび「過ちは繰り返しません」と誓いを胸に黙とうをする。それは今でも変わりません。
過ちを繰り返さないために、何が必要かを考えるときにやはり私は書物を紐解きます。参考になりそうな、書物をご紹介いたします。
名もなきひとの小さな声を聞き続けたアレクシエーヴィチの本は、小さな物語であふれています。この本は、いつもは小さき人々の声を集める役割のアレクシエーヴィチ自身の言葉が存分に語られている魅力的な書物です。彼女自身の声が、小さき人々の声の補助線となり、現在のロシア、ベラルーシ、ウクライナについて知ることができます。
ナチスドイツで多くのユダヤ人を強制終了所に送り込み殺害したアイヒマン。
アレクシエーヴィチの小さな人々の声と比較して、アイヒマンは個としての言葉を持たない。彼が持っているのは組織としての言葉だけです。
そして個の言葉を失い、思考を止めて組織の言葉に従ってしまうことが、どのような結果をもたらすのかをこの本は教えてくれます。アーレントのいう<凡庸な悪>というキーワードは、私にとっていろんな問いについての思考を助けてくれる大切な言葉です。
朝日出版社 発売日 : 2016-08-09 |
『だれもが平和を望んでいるのにどうして戦争はなくならないのか』という大きな問いの答えを求めるのはとても難しいけれども、いろんな書物を読みながらこれからも思考を深めていきたいと思います。
スタッフY